2023年10月3日火曜日

他人の空似

 





同じ場所なのに、同じ時間なのに、日にちが違うだけで、こうも違った様相を見せてくれる自然に、憧れと同時に畏敬の念を覚えずにはいられない。


これから益々日が短くなって、朝の電車の車窓からの景色は、真っ暗闇になってしまうだろう。だから、今だけの楽しみと言えようか。


そんな風に窓の外ばかりに気を取られていた、いつもの朝。降車する駅名が告げられたことで、ふと視線を車内に戻すと、はす向かいに座っている男性が目に飛び込んできた。


ぎょっとしてしまった。知り合いにそっくりだったからである。ただ、その知り合いの若い頃と言えようか。スニーカーを履いていて、白いシャツに包まれた上半身は引き締まっている様子だった。それでも、髪型といい、本を読んでいる様子といい、とにかく知り合いに似ている。


最後に会ったのはいつだったろうか。もう3年前になるか。いや、4年前かもしれない。流石に、その間に若返ることはないだろう。恐らく白髪も交じるだろう年頃の筈が、目の前の男性の髪には白いものは見えなかった。それでも、どうしよう。声を掛けてみようか。


あまりにじっと見ていたからだろう。その男性が、こちらを鋭い眼光で、胡散臭そうに睨んだ。そのしかめっ面さえも似ているようで、慌ててしまった。


他人の空似、か。久しぶりに連絡をしてみることにしようか。元気にしているのかしら。



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