ひょんなことから週一で預かっている高校生君を喜ばせようと、今回はつくね丼を作ることにした。鶏のモモ肉を使うのだが、当然フランスではモモ肉のひき肉など手に入らない。需要がないからだから仕方のないことなのだが、先ずはモモ肉を手に入れることから始めようか。
そして、当然のことながら、フランスで通常手に入る鶏のモモ肉はしっかりとした骨がついている。バッタ達の学校行事で、何本もの焼き鳥を作ったことがあるので、骨を除く作業など、最早朝飯前となった今では怖いものなし。さっさと骨を除き、身だけをミンチにする。
今回は、つくねを作るので、作業はここでは終わらない。ふと思うところがあり、眼鏡を外して最近あまり使うことがなかったコンタクトレンズを付ける。そして、二年前に沢山買って未だ山積みのマスクも、きっちりとはめる。さあ、これで準備万端。
大きめの玉ねぎを3つ選び、皮を剥き、おろし金でごりごりごりと摺り始める。玉ねぎは、水分たっぷりで、とろとろとどんどんと摺り上がっていく。ぽってりとした摺った玉ねぎを、今度は晒しでぎゅっと搾り取り、ほぼ搾りかす状態にする。ここまでの作業で、奇跡的にも鼻がつんとすることも、涙が出ることも一切ない。
いや、これは奇跡でもなんでもなく、コンタクトレンズとマスクのおかげであることには間違いない。玉ねぎをスライスしただけでも、眼鏡の場合はごんごんと涙が出てしまうのだから、効果のほどは抜群である。
しかし、そうなると、いかにコンタクトレンズが眼球にとって不自然であり、やはり眼鏡にした方が、目にとってはいいのだろうな、と朧げに思ってしまう。
さあ、ここではそんなことを考えている暇はない。しっかりと絞った摺り下ろした玉ねぎを、鶏ひき肉に入れ、しっかりと手で混ぜ合わせる。卵をいれてぐちゃぐちゃし、酒、醤油、みりんを入れてぐちゃぐちゃする。コーンスターチも少々混ぜ合わせる。
ぽってりとしたところで、冷蔵庫に入れて少し休め、今度は沸々と煮え立った昆布だしのスープに、左手で丸取りしながら、ぱっぱっぱと入れていく。ほとほとほと、と丸い玉がのんびりと浮き上がってきたら、スープから掬い取って、水気を切って置く。
熱々のところを毒見をしてみると、ふんわりと、そしてまろやかで、美味しいことこの上ない。けれども、スープで茹で上がったつくね君は、まだ社会にもまれていずに白っぽくて頼りない。
これをフライパンに油なしで直に並べ、じっくりと焦げ目をつけ、香ばしさが立ち上ってきたところで、酒、砂糖、醤油、みりん、そして水を少々、フライパンに入れ、たれを絡めるように、つくね君をころころと転がす。たれが気持ち残っている程度で火を止めて、熱々のご飯を丼によそり、その上に焦げ茶色にふっくらと色目がついたつくね君を並べていく。
さあ、ご飯よ!
つくね丼の前で、高校生君の目が輝く。一口食べて、小さな声が漏れる。う、うまい。
へへへ。たっぷり食べてね。
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