2023年10月9日月曜日

町のバス

 





パリ行きの電車に乗るための駅までは、我が家から歩いて小半時間の距離。バスだと、車が混んでいなければ15分。朝夕の通勤、通学の時間帯にはほぼ15分おきに運行していて、日曜は一時間に一本程度。これで十分なのだけど、それは問題なく運行している時のこと。


驚くことに、運行会社が、なのか、運転手の自主的判断なのかまでは分からないが、時々本数が勝手に減らされてしまうことがある。運転手の数が確保できていない、といったもっともらしい理由がサイトに載っているが、おいおいおい、ちょっと待って欲しい。それなら、何故意欲的な時刻表を改めて、現実的な時刻表にしないのか。


一時間に3本でもいい。確実に運行する時刻を載せて欲しい。運休することがあってもいい。それならば、その旨、公表して欲しい。


7時4分のバスに乗るべく準備をしてバス停で待っていても、7時20分頃にやってくることがある。そうなると、7時4分のバスは運休で、次の7時11分のバスなのだろうか、となるが、詳細は不明である。そんなことが続くと、ついつい、家を出るタイミングが遅くなってしまう。


今朝など、7時3分にバス停のある坂を駆け上がっていると、坂の下の方からバスのエンジン音が聞こえて来た。慌てて走り始めたが、すぐにバスに追い越されてしまった。が、なんと、バスはゆるゆるとスピードを落とし、バス停のある坂の上の手前、私の目の前で止まってくれたのである。


プシュー。ドアが開いて、さあ、どうぞ、と言わんばかり。


なんと!ありがたい!ご親切に、どうもありがとうございます!おはようございます!そう言って、元気にバスに乗り込んだ。運転手は、これまで見たことがない若い男性だった。


こんなフレキシブルな対応をしてくれるのだから、厳密な時刻表通りの運行がなされていなくても、たいして問題ではないのかもしれない。住民の足ともいえる町のバス。注文をつけるよりも、住民がその存在をありがたく思って、親しみを持って接していくことの方が何十倍も効果があり、お互いにウィンウィンと言えまいか。


メルシー、ムッシュー!ボンジョルネ。


そう、運転席に大声で声を掛けてバスを降りた。東の空が薄っすらと明るくなり始めていた。



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