2017年8月24日木曜日

4000メートルの谷を覗き込む







チバイの村を出てコルカ渓谷に向かう途中、山の斜面を利用した段々畑が独特の趣を放っている。乾季だからか、斜面には何の作物もなく、延々と茶色の土が続く。ここが緑一面になった様子を想像するのも、また楽しい。







早朝から太陽の日差しは強い。いや、標高が高いからか。





ここを背景とした記念撮影がお勧めとかで、ガイドの男性がカメラマンを買って出てくれる。足場は崖の上。順番など一向お構いなしに、我先にと崖の上に登って写真を撮ってもらいたがる人々。各国からの旅行者なので、お国柄色々あって面白い。






それにしても、コルカ渓谷の凄さをどう言葉にして良いのか分からない。




谷底は暗くて写真に撮れていないが、ずっと奥に川が流れている。





そして、遥か向こうの尾根は白い雪で覆われている。きらりと光るところを見ると、氷河ではあるまいか。




雪、雨、風、自然が年月を掛けて作り上げた岩肌。








渓谷の最標高地点は海抜4,350 メートル。そして、下を覗いた時の深さが最高4,160メートル。ペルーでも最深のスポット。

その渓谷に、コンドルが飛ぶという。

ガイドの男性が、今朝、コンドルを見ることができなかった時のためにと、バスに乗り合わせた旅行者たちのうちから、生贄を選ぼうとゲームをしていて、息子バッタが三人のうちの一人に選ばれていた。

と!いきなり頭上を思いもしなかった大きさと勢いで、俺の姿を見てくれと言わんばかりの余裕でコンドルが舞う。












遥か向こうには雪山。青空にペルーの真っ赤な国花が映える。
コンドルたちは、今度は俺の番だと言わんばかりに次々に優雅な舞を見せてくれる。彼らはリマまで飛んで行くという。マチュピチュでもユゴーが先日コンドルを見たと話していたことを思い出す。一度獲物を得たら一週間は狩りをせずに済むらしく、時には一羽たりとも姿を見ることができなこともあるらしい。





それが本当の事なのか、それとも、その場にいた我々の高揚した気分を一層盛り上げるためにガイドの男性が話したのかは定かではない。しかし、効果は覿面。

母もバッタ達も、皆興奮。飽きずに空を見上げ、大自然の中の優雅な舞をいつまでも心ゆくまで楽しんだ。




ペルー紀行
 第一話  インカの末裔
 第二話  マチュピチュを目指して
 第三話  真っ暗闇の車窓    
 第四話  静かな声の男
 第五話  さあ、いざ行かん
 第六話  空中の楼閣を天空から俯瞰
 第七話  再び、静かな声の男登場
 第八話  インポッシブルミッション
 第九話  星降る夜
 第十話  インカの帝都
 第十一話 パチャママに感謝して
 第十二話 標高3400mでのピスコサワー
 第十三話 アンデスのシスティーナ礼拝堂
 第十四話 クスコ教員ストライキ
 第十五話 高く聳えるビラコチャ神殿
 第十六話 標高4335mで出会った笑顔
 第十七話 プカラのメルカド
 第十八話 標高3850メートルの湖上の民
 第十九話 ゆく河の流れは絶えずして
 第二十話 コカの葉を噛みながら



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