ペルー紀行
第一話 インカの末裔 第十一話 パチャママに感謝して
第二話 マチュピチュを目指して 第十二話 標高3400mでのピスコサワー
第三話 真っ暗闇の車窓 第十三話 アンデスのシスティーナ礼拝堂
第四話 静かな声の男 第十四話 クスコ教員ストライキ
第五話 さあ、いざ行かん 第十五話 高く聳えるビラコチャ神殿
第六話 空中の楼閣を天空から俯瞰
第七話 再び、静かな声の男登場
第八話 インポッシブルミッション
第九話 星降る夜
第十話 インカの帝都
バスの一行は、遅めの昼食を2フロアがオープンスペースの、がらんとした大食堂を貸し切り状態で楽しんだ。教員デモの影響で遅れるとでも連絡が入っていたのだろうか。準備万端でサービスの女性も数名立っている。ビュッフェ形式。
しかし、これだけの大きさで、収容キャパはすごいだろう。ここが満員となることはあるのだろうか。学校の学習旅行でも受け入れるのだろうか。一体どこが資本を出したのか。ビジネスモデルは?ペイするのか?7月でこの様子なのだから、雨季は一体どうなのだろうか。余計なことを考えてしまった。と、
「おお、ここには日本がない!」
末娘バッタが相変わらずの素っ頓狂な大声を出す。大きな壁には図入りのペルーの歴史年表と一緒に世界地図が掲示されていた。何を今更。良くあることではないか。まあ確かに、この地では多くの日系人が活躍しており、大統領さえ輩出されているのだから、日本が世界地図にないのは残念なこと。
しかし、彼女の日本人としての精神がそう言わしめたのかと思うと、まんざらでもない。
この食堂の入り口には、マチュピチュにも沢山咲いていて、ガイドのユゴーが教えてくれたペルーの国花カンツータが燦燦と輝く太陽のもとでピンクの色をきらめかせていた。
そして、ラ・ラヤ(La Raya)峠。クスコとプーノの州境にあり、標高4335m。
5000m級の雪を抱く山頂がまばゆい。富士山頂を大きく超える高さに立っているのかと思うと感慨もひとしお。絶景。
こんな場所にも、鮮やかな色の織物を売る店が出ていて、リャマを引き、羊の赤ちゃんを抱いた民族衣装の女性がにこやかに観光客を待っている。近付けば、当然お金を要求されるだろうし、観光客には変わりはないものの、そんな初心な観光客はしたくなかった。
クスコでは初日に末娘バッタがリャマを引いた女性陣に囲まれ大喜びで写真に納まっていたが、彼女のナイーブさを微笑ましく思いながらも、一線の距離を置き、キャーキャー騒ぐ観光客と自分は違うというスタイルを貫いていた。
しかし、シナモン色の肌をした女性は、アンデスの女そのもののイメージだったし、幼い男の子がリャマと遊びたがって、隣にいたことからも、それとなく近くで見守っていたところ、バスの運転手が近寄ってきて、女性が抱いていた羊の赤ちゃんに顔を埋め、親し気に話を始めた。その自然さに、自分の愚かな虚栄心を恥じる。
人と人との出会い。女性の笑顔が眩しい。
にほんブログ村
↑ クリックして応援していただけると嬉しいです
皆さんからのコメント楽しみにしています
0 件のコメント:
コメントを投稿