前日はセップを2つ見つけたのみだったが、本当にセップなのかと疑心暗鬼であったし、その場所で蚋やら蚊やらに刺されてしまったこともあって、すぐに別の場所に移動してしまっていた。
香り良し、味良し、生命を脅かす毒無し、となると、人間は欲が出てくるものである。あの場所にもう一度行って、他にもセップがないか探そうではないか、となるのは人間の性。どの道、トンカとは毎日散歩をする道すがらである。散歩のついでに、ちょっと森の奥深くに足を忍ばせても罰はあたるまい。
欲丸出しでは、森の精も黙ってはいないであろう。ましてや、森には鹿、猪、狐たちが生息している。彼らの貴重な食料を奪ってしまうのは本意ではない。などと、成人君主のようなことを言い連ねてみたところで、所詮俗人は俗人。美味しいセップをちょこっとだけ分けてくださいませね、との控えめながらも、食いしん坊精神満々で森にスキップで入って行った。
枯れ葉がやわらかに積もっていて、森の木立の隙間から太陽の光がさっと差し込んでいる、そんな神々しい場所に、どうやら茸は好んで生育するように思われた。単に、暗がりでは良く見えずに、見落としてしまっているのかもしれなかった。それでも、鬱蒼とした森の中で、落ち葉の絨毯の爽やかな緑の空間を見つけて足を踏み入れると、密集と言うよりは、ぽつりぽつりながらも、茸の生育が認められることが多かった。
果たして。バカンスで誰もいない森に、太っちょの白い軸に焦げ茶色の愛らしい丸い傘をつけたセップが、やわらかな緑の陰でひっそりと、しかし頼もし気に、姿を現してくれた。
嗚呼。森の精よ、ありがとうございます!
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