2023年9月20日水曜日

9月の奇数週

 





日本に一時帰国して驚くことが沢山あるが、驚く内容が大まかに言って二種類ある。青年期まで過ごした日本との違い、そして、現在住んでいるフランスとの違い。その両方ともに当てはまることも少なくないが、その一つにごみ収集がある。


住んでいる自治体により、厳格さ、分別の仕方など様々であろうが、日本では兎に角仕分けの種類が多いことに驚いてしまう。実家では、風呂場前のドア一面に自治体から配布されたごみ収集に関する大きなポスターが貼られている。


上半分は廃棄物の仕分けの内容および廃棄する際の注意点をイラストで解説されてあり、下半分は一年のカレンダーとなっていて、色別、形別で、どの日にどのごみの収集日かが分かるようになっている。非常に工夫され、誰にでもわかりやすくなっているので、大いに感心してしまう。


一方、フランスの現在住んでいる地区のゴミの分別方法は、非常にアバウトである。大体、遵法精神というものが日本とは全く違うのであるから、推して知るべし、と言えようか。今回は、この点についてではなく、別の観点からの驚きの発見について語りたい。


以前から違和感があったことは確かである。それが、今回、在仏30年にして、漸く確信するに至ったのだから、全く今まで何をしていたか、と言う事にもなる。人間とは、無関心であろうと思えば、一向に何も考えずに生きていける。ただ、換言すれば、人によってはちっとも大きな発見でもない、となろうか。まあ、その辺は感性の問題なので、ここでとやかく言わないことにしよう。


さて、大まかに言って、生ごみ、紙ごみ・缶、ガラス、の3種類でゴミは仕分けされ、地区ごとに収集日が決まっている。生ごみは毎週2回、紙ごみ・缶は毎週1回、そして、問題のガラスが、自治体から配布された手に入るようなカードによれば、月の第1、第3週に1回、となっている。


問題は、ガラス廃棄物の収集日。月の第1、第3週に1回と明記されているのだから、当然の様に、収集指定日が水曜であれば、第一水曜と第三水曜と思うではないか。そう思って指定のゴミ箱にガラス瓶を入れて、指定されている通りに我が家の玄関脇に出して問題がない日もあれば、夕方になってもちっとも収集に来てくれない日もあった。


ガラス廃棄物なので、お隣さんをちらりと見ても、毎回出している訳ではないので、当てにならない。ぽつねんと玄関脇に出ているゴミ箱に、時々通りがかりの人が勝手にごみを入れていくこともある。信じがたい話ではあるが、黒いゴミ袋が入れてあったこともある。これまた信じがたいことだが、使用済みの妊娠検査のスティックが入っていたこともあった。


通りに投げ捨てなかっただけでも良しとするのか、何故に自分の家のゴミ箱に入れないのか、理解しがたいと怒るべきなのか。妊娠検査に至っては、妊娠を希望していない高校生あたりが慌てて検査し、証拠隠滅とばかりに捨てたように思われ、その軽々しさに教育上問題があると感じ、ゴミ箱から取り出し、通りに晒して置いておいた。それを見て我が行為を少しでも恥じ入り、以降もっと自覚した生き方をしていってくれれば、などと思ったものだが、はてさて。


それが、トンカと毎朝散歩をするようになって、別の通りを歩くにあたり、皆ちゃんと同じ日に、申し合わせたようにガラス瓶を入れたゴミ箱を出していることに気が付いた。そして、その日は必ずしも第一水曜と第三水曜ではないことにも気が付いた。


最初は地区が違うのかと思ったが、そんなことはない。通りの名前こそ違え、大通りから入った我が家の通りと並行した隣の通りなのだから。そして、まさか、まさか、と思いながらも、第一水曜と第三水曜という概念ではなく、月の第一週、第三週の水曜日、という概念なのではないかと思うに至った。


そして、そのまさかであった。自治体のホームページで廃棄物収集日を調べてみたところ、ガラス廃棄物の収集日は、「奇数週」の特定曜日という書き方がなされていた。嗚呼、驚くなかれ。そうであった。フランスは不思議なことに一年を通して、週に数字を振っている。


例えば、2023年9月19日、月曜から始まる週は第38週となり、偶数の週。


例えば、今年の9月は上表のようになっている。よって、9月の奇数週、つまり第一週と第三週の水曜日とは、6日と20日のこと、と思っていた私にとって、青天の霹靂。フランスでは、9月の奇数週とは、第37週と第39週のことで、その水曜日とは9月は13日と27日になる。


なんと非効率で分かりにくいことか。だから、フランスの学校やオフィスには大抵机サイズのボール紙のカレンダーがあって、ゾーン別の学校のバカンスが色分けして表示されてあり、月や曜日だけでなく、何週なのか表記されているのか。


ちょっと、ちょっと、ちょっと。在仏30年目にして分かったなんて、ちょっと恥ずかしい話だろうか。バッタ達は分かっているのだろうか。今度彼らが家に帰った時にも、聞いてみよう。こうなると、毎年年末になると押し売りのように消防署や郵便局が持ってくるカレンダーも取っておかねばなるまい。



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