2023年9月17日日曜日

良いこと尽くし







ボーダーコリーのタンジェリンちゃんとお知り合いになる。タンジェリンって、確か蜜柑の総称だったよな、と思い、目の前の元気なボーダーコリーと結びつかないが、そんなことを言ったら、トンカだって同じだろう。パティシエが聞いたらぎょっとするに違いない。現に、先日レストランで、デザートにトンカ味のするクレームブリュレがあって、ぎょっとしてしまった。


タンジェリンと言えば、橙色のジューシーで穏やかな味わいの蜜柑の印象が濃厚だが、飼い主にとっては、白と黒の毛むくじゃらで、エネルギーの塊のようなボーダーコリーのタンジェリンが真っ先に思い浮かぶのであろう。


トンカとの相性は抜群で、二匹は林を駆け回り、立ち話をしている飼い主たちの足元を狙ったかのように体当たりをし、絡み合ったり、飛び跳ねたりと大騒ぎをしている。


一歳になるタンジェリンちゃんを連れていたのは、シニアのご夫婦だった。最初は彼らの犬かと思っていたが、話し込むにつれ、ご近所さんの犬であることが判明した。シニアのご夫婦は二週間前に16年連れ添っていたシェトランドに旅立たれてしまい、呆然としていたところ、2歳の幼い男の子がいる近所の若い夫婦が、遊び盛りのタンジェリンを持て余していると聞いて、散歩に連れ出すことを申し出たという。


彼らも助かるし、我々も楽しいし、タンジェリンも喜んでくれるし、とにかくお互いに良いこと尽くしなのよ、とマダムが嬉しそうに笑う。


まあ、それは素敵。ご連絡先伺ってもよいでしょうか。と茶目っ気たっぷりに言うと、皆で大笑いとなった。


うっかりと、新たに犬を迎えるご予定は、などと不用意なことを言ってしまったら、急にマダムの顔が曇って、未だ無理ですよ、と震える声で返された。2週間前に別れを告げたばかりなのに!ああ、そうでした。ごめんなさい。


マダムは可愛いシェルティの写真を見せてくれた。それまで元気にじゃれ合っていたタンジェリンちゃんとトンカは、漸くひと段落付いたかのように、息を切らしながらも緑の草原に仲良く横たわった。


あまりに愛らしい二匹だったので、写真を撮ろうとすると、トンカが相変わらず動きだしてしまう。レンズを向けられることが、本当に苦手なトンカ。後から確認をしてみると、なんだかトンカがタンジェリンちゃんに話しかけている様子が撮影されていて、大いに笑えた。


二匹とも、びっしょりと汗を掻いていた。そう、その場では感心したものだったが、よく考えると、犬は皮膚に汗腺がないので汗を掻く筈がないではないか。では、あの体中びっしょりと濡れていたのなんだったのだろう。草の露だったのかしら。


シニアのご夫婦とタンジェリンちゃんに別れを告げる。また是非会いましょうね、と。




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